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(社)大阪府経営合理化協会 『合理化2月号(451)』より![]() ![]() |
小川
あまたある封筒メーカーさんの中で独自の地位で成長を続け、利益を生み出す経営を進めてこられた御社ですが、そこには何らかの強みがあったからだと思います。そこで御社の強みについてお聞かせ願います。鴨谷
昔、封筒といえば大抵は茶色のクラフト封筒と個人が使う白い封筒、この2種類でした。当社では昭和40年頃から封筒の多様化・個性化を目指してきました。最初に取り組んだのが定型封筒のカラフル化で、同じ大きさの封筒で違う色を400種類揃えました。ここまで豊富なカラーを揃えた封筒作りは同業他社には真似できません。おそらくほかのメーカーさんが揃えることのできるカラー数は50種類程度です。400色もあれば、お客様は好きな色の封筒を見つけることができます。当然、これらは既製品ですので当社も在庫はきちんと揃えています。400色の封筒全部が大量に出るということはありませんが、お客様には大変喜んで頂けるということで大きな評価を頂きました。この時の評価は今日の私どもに大きくつながっていると思っています。小川
その後も色々な封筒作りをされてきたのでしょうか。鴨谷
はい、昭和40年頃から徐々に種類を増やしていき、高度経済成長の頃は当社の多様化・個性化封筒は飛ぶように売れました。バブル経済崩壊後は種類も幾分か減少しましたが、ここ2〜3年前からまたカラーや個性的な封筒が増えてきています。最近の傾向は、封筒に入れる便箋などの用紙も封筒と同じ材質とかデザイン、カラーに合わせてほしいというご要望が出てきています。とくに訴求力が求められるダイレクトメール分野でその傾向が強いですね。
もう一つの新しい動きは、封筒を受け取った人がハサミを使わずに簡単に開封できる「イージーオープン封筒」の開発です。ダイレクトメールというのはお客様が受け取ってもなかなか開封してくれません。また日本人にはペーパーナイフを使う習慣がありません。お客様が封筒を受け取って、その場で開封しやすい方法はないものか、あるいはDM類のレスポンス率の向上に寄与できる方法はないものかと検討した結果、生まれたのが「イージーオープン封筒」です。
お客様はこの封筒に印刷された方向にフラップを引くだけで容易に開封できます。また開封時にゴミも出ず、フラップの裏面(内側)にメッセージを印刷しておけば、開封時にそれがお客様の目に留まるなどユニークな特徴を織り込んでいます。小川
ハサミを使わずに開封できる封筒は珍しいですが、何か特許をとっておられるのでしょうか。鴨谷
意匠登録は申請中ですが、特許はとっていません。要は、このイージーオープンの封筒の存在をいかに知って頂くかということです。そういう意味で私どもが1社でやるよりも同業他社の方にも同じような封筒作りをしていただいた方が製品の知名度も上がりますし、同時に業界の活性化につながると思っています。
このイージーオープン封筒は、製袋機にミシン目をつける刃を内蔵させ、ミシン目の形状に工夫を加えるなど、当社がこれまで蓄積してきた技術やノウハウ、それにお客様へのお役立ちの結晶でもあります。それだけに私どもでは今後の拡販を期待しています。
小川
しかしコストは結構かかっているのではないでしょうか。鴨谷
今まではこういった封筒は作れないというわけではありませんでした。おっしゃるように、作ろうとすればかなりコストがかかっていたのです。当社では、開発に5年をかけて設備そのものを改良し、従来品と同じコスト、同じ納期でイージーオープン封筒を作ることが出来るようになりました。ですから競争になっても価格や納期面で私どもが優位にたてるという自信がございます。小川
新商品を開発しても、その打ち出し方をどうするかということも重要です。イージーオープン封筒はどのようにして市場に出されたのでしょうか。鴨谷
まず印刷会社さんに提案し、採用して頂きました。そこから大手総合商社さんのファミリーセールのDMとして使って頂き、次々と色々な分野のDMに使って頂くようになりました。
私どもとしては、従来までは我々の直接のお取引先であるお客様(封筒を発送する企業)に喜んで頂ける製品開発を目指してきました。しかし今回は特に「お客様の“お客様”」を意識し、この方々(封筒を受取る人)にも満足して頂けるモノづくりをしようという発想に換えてみたのです。
発想の転換はまだあります。封筒の需要を見ますと、店頭で売られる既製品は次第に斜陽化しつつあります。個人や企業が使う封筒はどんどん減っています。ところが企業から個人に宛てる封筒の需要は増加傾向なのです。つまりDMの増加で、お客様(企業)のご要望に沿った封筒を作っていかねばならなくなりました。そこで、私どもは印刷業のように封筒の受注生産型メーカーになることを目指しました。それがイージーオープン封筒の開発で可能になったのです。既製品と受注生産の比率はこの5年間で受注品70%、既製品30%に逆転しました。小川
御社はISO9001の認証取得もなさり、大阪府品質管理推進優良企業として大阪府知事より表彰されておられます。これら一連のご努力の結果はキャッチフレーズ“Never Say No”に表れていると思います。御社のお取り組みの一端をお聞かせ下さい。鴨谷
“Never Say No”はお客様のおっしゃることを何でもかんでも聞くという意味ではありません。とりあえずは、まず受け止める。ご要望の内容が無理難題と思うのは、我々が今までそれが出来ていないからです。もし、それを出来るようになれば無理難題でなくなります。またお客様は必要があって要求されているのです。だから不必要な要求はないということです。
この観点に立ってお客様の要求に応え、満足度を満たすにはどうすればよいかを皆で考えよう、と。それが出来れば、我々の強みの一つとして加え、企業は進歩します。言い換えますと、企業とはお客様の要求に応えられた段階で一歩一歩前進していくのではないでしょうか。またお客様の要求を受け入れ、それを提供して初めて我々は評価されるのです。
そういうことで“Never Say No”の姿勢は我々の全社的レベルアップを図るとともに、お客様から信頼を得る基本であると思っています。小川
グローバル戦略も含めて、今後の抱負をお聞かせください。鴨谷
海外関係ですが、この業界にも一部製品は中国から入ってきています。在庫品が中国製品にとって代わるのは人件費面から見てもやむを得ないと思います。しかし中国で出来ない商品が封筒の世界には無尽蔵にあります。当社はお客様の要求に応じて新しい商品を次々と開発してきました。顧客満足を満たす商品開発については中国が対応するのは難しいと思います。そういうことで、これからも私どもは顧客満足を追求する商品開発に取り組んでいきたいと考えています。
小川
益々のご活躍とご発展を期待しています。本日はありがとうございました。